多数乱戦となる原因 

「規模の経済性」

あるいは

「経験曲線効果」

が効かない。

「規模の経済性」とは、

規模を大きくすると、コストが安くなること。

例えば、原油を運ぶタンカー。

大きければ大きいほど、原油1単位に対する輸送コストは、相対的に低くなる。

モノだけでなく、「取引」も同じこと。

例えば、不動産取引。

5万円の賃貸物件の取引も500万円の物件の取引も

取引にかかる事務コストは、あまり変わらない。

規模が大きければ大きいほど、(変動)コストは割安になる。

これが、「規模の経済性」だ。

そして、

「経験曲線効果」。

「経験を積むと、コストが安くなること」を言う。

もう少し具体的に言えば、

「あるものをたくさん作っていくと、上手に安く作れるようになる」ことだ。

作業方法とか、レイアウトとかが改善されたり、特殊な工具ができたりして早くできるようになったり…。

「規模の経済性」は、ある一期間の量(規模)を指すが、

「経験曲線効果」は、「累積生産量」を指す。

これまでに作ってきたトータルな量だ。

長年、繰り返し、数多く、取り組んできた人が「安く(あるいは早く)」作ることができる。

「規模の経済性」」や「経験曲線効果」があると、

大きな資本を持っているものや、

いち早く大量にモノを作った人が有利になる。

多数乱戦業界では、この二つの効果が「効かない」のだ。

だから、資本も経験もあまり役立たない。

ポーターは、漁業の例も挙げている。

「たくさんの漁船を持ったとしても、大きな効果があるわけではない」

「規模の経済性」は、効かないのである。

だから、漁業では、個人や家族などの零細業者もたくさんいるのだと…。